2019年4月より、嘉麻赤十字病院の院長を拝命いたしました目野でございます。宜しくお願い申し上げます。3月までは福岡赤十字病院の副院長兼循環器内科部長を務めておりました。患者様を思い、地域に寄り添った医療を行う所存でございます。外来診療は6月から担当いたしますので、受診される方は小さなことでもお気軽にご相談ください。
当院は、2018年より始まった定期巡回サービスをはじめ、地域に根差した質の高い医療の提供を目標とし、地域の皆様方が安心して生活できる環境を整え、嘉麻市の皆様に信頼される病院となるよう、職員一丸となって邁進いたします。私も微力ながら全力を傾注して参りますので、関係者の皆様におかれましてはご支援、ご指導のほどお願い申し上げます。
嘉麻赤十字病院は飯塚医療圏に属し、同医療圏の南部の嘉麻市にある病院です。嘉麻市は人口38780人(平成27年)ですが、最近5年間の人口減少率は約9%で、また高齢化率は約36%です。このような医療圏で当院は急性期一般病棟、特殊疾患療養病棟、地域包括ケア病棟を有するケアミックス病院です。
来るべき少子高齢化社会に向けて国が目指しているのは、医療・介護サービスを一体的に提供し、「地域包括ケアシステム」を実現することです。将来的には嘉麻市の介護需要度は微増していくものの医療需要度は漸減していくと予測されております(JMAP)。入院患者の需要度を疾患別に予測すると、肺炎、骨折、循環器疾患は増加すると考えられております。
そこで心不全と地域包括ケアシステムに考えてみます。
高齢化の進展と医療技術の進歩により、慢性心不全が増え続けており、心不全パンデミックという言葉が使われるようになり、2005年に100万人だった心不全外来患者は、2030年には130万人と30%の増加が予測されております。症候性の心不全患者(心不全分類ステージ;C, D)のみを扱うのではなく、その前段階である心不全のリスクを有する患者(心不全分類ステージ;A,B)の存在を考え、高齢者の心不全の管理を行う必要があります。この点を考慮すると,高齢心不全患者の管理においては,基幹病院の循環器専門医よりはむしろ,かかりつけ実地医家等が地域で形成する診療体制こそがその診療において主体的な役割を果たすことになります。心不全のステージ分類(図1)において、「在宅医療期」の治療戦略は再入院回避をすることであり最も重要視されています。次に「ターミナル期」の初期では、服薬管理と体重管理を徹底しても、心不全が悪化する時期があり、この不安定な時期には、積極的に入院していただき、病院のベッドを利用します。ベッドから動けないほど重症化した後の入院となれば、確実に体力は落ちます。それを避けるため、むしろ軽度の段階であえて入院を勧め、この入院では、本人、家族とターミナル期をいかに生きるかを話し合います(Advanced care support)。
まとめ